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13話 一息ついて

ผู้เขียน: ニゲル
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-25 14:12:07

「はぁ……はぁ……うっ!!」

奴を倒したことで気が抜けてしまい痛みがぶり返してきて、膝を突き激しく息を荒くして心の鼓動が速くなるのを皮膚で感じる。マラソンを走り終えた後のようだ。

[配信は……切れてる?]

[戦闘が終わったから切っておいた。それより大丈夫……じゃなさそうだな。すぐに例のアレを持ってく]

テレパシーが切れ、疲労がどっと押し寄せてくる。私は目眩に耐え切れなくなり、その場に倒れ伏しそうになってしまう。

「ウォーター!?」

地面に頭をぶつける直前にイリオの手が私を持ち上げてくれてなんとか衝撃は免れる。

「随分と酷い怪我だな。おい波風……いやここはイリオと言っておこう。手当てしたいから人目がないところまで移すぞ」

「宇宙人さん……分かった」

「宇宙人さんじゃない。俺の名前はキュアリンだ。覚えておけ」

私はイリオに連れられて人目のない物陰まで行きそこでお互い変身を解除する。

「っ……!! やっぱり酷い怪我。破片がめり込んでる……」

「間に合ってよかったな……ほら高嶺。例の薬だ飲んでおけ」

「うんありがと……」

私は口元に持ってこられた錠剤を飲み込む。血は止まらないが痛みが引いていき痛覚が失われていく。

「それは?」

「痛み止めだ。俺達の星のな。地球人に副作用がないことは確認済みだから安心しろ」

次にキュアリンは吹きかけるタイプのスプレーを取り出しそれを私の傷口に吹きかけていく。

「ちょっとそんな日焼け止めスプレーみたいなのかけて大丈夫なの!?」

「うるさいないちいち! 怪我の治りを促進させるスプレーだよ。ただまぁあくまでも促進させるだけだからこの怪我だと歩けるほど治るのに数十分いるが、一日もすれば痛みは残ってないだろう」

前使った時は数時間で完治したが、今回の怪我ではそうはいかないだろう。私は痛み止めが切れた後のことを想像して口の中いっぱいに広がる苦い味を噛み締める。

「とりあえず治療は終わったぞ。俺は見られたらまずいからこれで離れる。何かあればテレパシーで……」

「テレパシー……?」

[こういうのだ]

「うわっ!? 頭の中に声が!?」

私と全く同じ反応だ。やはりあの感覚は初見だと奇妙で驚いてしまう。

[こうやってやるの?]

[あぁそうだ。ともかく高嶺のことは任せたぞ]

キュアリンは茂
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